~ 母趾が変形して痛い!それは外反母趾かも? ~
外反母趾は足部の障害の中でも多い疾患の一つです。
そんな外反母趾に対する対策としてエビデンスがあるのは、運動療法や装具療法や手術療法になります。
適切なタイミングで適切なアプローチを行うことによって、疼痛や変形の改善に繋がるので、状態をきちんと見極めることが重要です。
変形が重度の場合は手術療法が適応になります。
ここがポイント!外反母趾のまとめ
- 外反母趾は第一中足骨の内反と基節骨の外転、回内変形を呈する
- 外反母趾は第一中足骨の内反と基節骨の外転、回内変形を呈する
- 基本的に単純X線で診断される
- 運動療法で母趾の内在筋を中心にトレーニングする
- 変形が重度であれば手術療法の適応となる
目次
- 外反母趾とは
- 外反母趾の診断
- 外反母趾の治療
- リハビリの流れ
1.外反母趾とは
外反母趾とは母趾中足趾節間関節(MTP関節)で母趾が外反した変形で、ガイドラインでは外反母趾角(HV角)20°以上を呈しているものを外反母趾と定義しています。

変形としては母趾MTP関節が外転し、内側が突出した状態形になります。
この第一中足骨頭内側の軟部組織あるいは骨性隆起をバニオンといい、外反母趾とは区別して扱われます。
外反母趾は最も多い足部疾患の1つで、頻度は15~63歳の23%、65歳以上の36%とされています。
日本でも同程度の発生頻度で、変形が重度になるほど痛みの頻度も高くなると言われています。
年齢が高齢になるほど増加傾向を示し、男性よりも女性の方が高い割合を示します。
また遺伝的な要因が強く関連するとも考えられていて、家族内発生が報告されているそうです。
さらに母趾列が第2趾列よりも長いエジプト型の足の形状は外反母趾と関連しているとされています。

骨の変形としては下記のようなものです。
| ①第一中足骨の内反 (metatarsus primus varus) ②母趾MTP関節部の突出 (bunion) ③ 母趾の基節骨の外転、回内変形 ④開張足 |
外反母趾の変形が起こると、その周囲に存在する筋の起始・停止の位置関係が変化してしまうため、作用も変化するといわれています。
短母趾屈筋、母趾外転筋、母趾内転筋などの底側の筋群は関節包、足底腱膜とともに基節骨に付着しています。
また第一中足骨頭に存在している種子骨は、短母趾屈筋の腱内に存在し、種子骨靱帯を介して基節骨に付着していて、長母趾屈筋は種子骨の間を通過し、末節骨にまで付着しています。
母趾の基節骨は中足骨頭を中心に基節骨に付着している筋群の内外側のバランスによりその位置が保たれていますが、第一中足骨の内反が生じるとそこに付着を持つ筋群は一塊で外側に移動してしまうのです。
具体的には、短母趾屈筋、母趾外転筋、母趾内転筋などの筋群・足底腱膜・種子骨などが外側に移動します。
すると基節骨は外反・回内してこのため母趾の回内、種子骨の外側亜脱臼、母趾外転筋の底側転位が生じてしまいます。
その結果、筋の作用が通常と異なった形となり、より母趾を正中位に戻することが困難になっていくのです。
2.外反母趾の診断
外反母趾の診断は一般的に足部単純X線像によるHV角で行われます。
母趾の外反度によって重症度が分類分けされています。
しかし報告によってばらつきがあるため、重症度を示す角度にも多少ばらつきがあると思われます。
| HV角正常値9~15° | |
|---|---|
| 1度 | 足の長軸に対して10~20° |
| 2度 | 足の長軸に対して10~20° |
| 3度 | 足の長軸に対して40°以上 |
またHV角以外に第一中足骨の内反度で重症度を3段階に報告しているものもあります。
| 1度 | 5~20° |
| 2度 | 20~25° |
| 3度 | 25°以上 |
このように基本的には外反母趾の診断は単純X線で行われます。
3.外反母趾の治療
外反母趾に対する治療はリハビリを含む保存療法と手術療法に大別されます。
保存療法では、靴の指導、装具療法、薬物療法が中心となります。
靴は母趾のMTP関節内側部のバニオンを圧迫しない、先が広く足趾の運動を妨げない、ヒールは低めにする、柔らかい素材を使用するのが好ましいです。
実際に横アーチの可動性が高い健常者が6cm以上のヒールを履くことで、横アーチが大きく伸長されたことが報告されています。
また20~64歳ハイヒールを履いていた女性は、外反母趾の頻度が20%増加したと言われているため、ハイヒールはできる限り使用しない方が良いと言えます。
装具療法ではインソールやパッドや夜間に使用する矯正用装具などが用いられています。
破綻しているアーチ構造を考慮して装具を使用することによって、除痛効果が得られています。
ただし除痛効果はHV角が35°未満の中等度以下の人の方が、高い割合で除痛効果が得られていました。
つまり装具療法は中等度以下の外反母趾の人に対して有効だと言えます。
外反母趾の手術は近位骨切り術が最も一般的です。
さらに骨幹部骨切り術、遠位骨切り術も存在しています。
適応はHV角40度以上の重度外反母趾でかつ第一中足骨と第2中足骨間が12度以上の場合とされています。
しかし、重度だけではなく中等度の方にも適応され、一定の効果を示しています。
4.リハビリの流れ
リハビリでは運動療法を中心に行います。
運動療法では母趾外転筋の筋力増強訓練が重要で、母趾のアライメント改善に繋がります。
実際にHV角が30度未満の人でトレーニングを平均6ヶ月継続することによって、13.4%HV角が改善したと報告されています。

このように母趾の局所的な運動はHV角の改善並びに、疼痛などを抑制する効果があると言えるのです。
しかし臨床的にみていくと外反母趾を引き起こす多くの人に近位関節の問題も見受けられます。
特に足関節の背屈可動域は大変重要です。
足関節はほぞ穴構造になっていて、脛骨と腓骨が作るほぞ穴に距骨がきちんとはまり込むことで安定します。
足関節の背屈制限が起きるとこのはまり込みが起こらず足関節が安定しません。
距骨は後内側の動きが制限されやすく、内側側が動かないことにより距骨が外側を向く、足部外転アライメントが作られやすくなります。
足部が外転した状態で荷重がかかれば、足部内側縦アーチがより潰れるようなストレスがかかったり、母趾が外反方向に変形するようなストレスがかかったりします。
つまり足関節背屈可動域の改善も重要なポイントだと言えます。
距骨には直接筋が付着しないものの、距骨の真裏を長母趾屈筋が通過しています。
そのため長母趾屈筋がなんらかの原因で硬くなってしまうと、距骨の動きを制限し、足関節背屈を強力に阻害する因子となってしまうのです。
長母趾屈筋は半羽状筋の構造を呈しているため、ストレッチをするだけではなく単軸に動かすような刺激も有効になります。 さらにアキレス腱の前方にある脂肪体(Kager’s fat pad)とのFHLパートを通過しているため、脂肪体の柔軟性も足関節背屈の可動域に大きく関係します。


参考文献
- 実践 足の保存療法 手術の前にすべきこと
- 外反母趾診療ガイドライン2014