~肩の高さが左右で違う、前屈で肋骨が浮いて見える!それは側弯症かも!?
脊柱側弯症には機能的側湾と構築性側弯があり、その中でも構築性側弯の中の特発性側弯症が80%以上を占めています。
思春期側弯症に対しては装具療法が非常に大切です。
装具療法が適応となる状態であれば、装具を適切に使用することで手術を回避することができる可能性があります。
装具装着時間依存性に成功率が高まると言われているため、病態の正しい認識と装具の使用は大変重要なのです。
ここがポイント!思春期側弯症のまとめ
- 構築性側弯の80%以上は特発性側弯
- 思春期側弯症は多因子である
- 脊柱の単純X線にて得られるCobb角を基に変形の程度を評価する
- 装具療法にて手術を回避できる可能性があるため適切に使用する
- 側弯症手術後の競技復帰率は低いため保存療法が重要
目次
- 思春期側弯症とは
- 思春期側弯症の診断
- 思春期側弯症の治療
- リハビリの流れ
1.思春期側弯症とは
脊柱側弯症は機能的側弯と構築性側弯に分かれています。
機能的側弯は脊柱自体に問題がなく、骨盤アライメントの影響などによって見かけ上の脚長差が問題となって側湾が起こっているものを指します。
この場合は見かけ上の脚長差を改善することで、脊柱の側弯にも改善が見られます。
構築性側弯は、特発性側弯、先天性側弯、神経筋原生側弯、症候性側弯、医原性側弯などがあり、脊柱側弯症の80%以上は原因不明の特発性側弯症です。
中でも思春期特発性側弯症は成長期に側弯が進行する疾患で、遺伝的因子、環境因子が発症・進行に関与する多因子疾患であると言われています。
側弯症は前額面での変形だと思われがちですが、脊柱にはカップリングモーションという側屈に回旋を伴う動きがあります。
そのため側弯症により脊柱の前額面の変形には回旋が伴っているのです。
特発性側弯症の頻度は0.47~5.2%と報告されていますが、一般的には2〜3%の割合だと言われています。
特発性側弯症の中でも3歳までに発症するものを乳幼児期側弯症、4~9歳までを学童期側弯症、10歳以降に発症するものを思春期側弯症と呼びます。
女性の頻度が高く、男女比1:3.6で重症例も女性に多いと報告されています。
特発性側弯症の変形が進行するかどうかは、成長時期とカーブそのものの大きさに関係していると言われています。
成長の指標は,初潮年齢や腸骨稜の骨端核の骨化を評価すRisser sign(リッサーサイン)で評価されます。
| Risser sign | ||
|---|---|---|
| グレード0 | 腸骨稜の骨化なし | |
| グレード1 | 腸骨稜の外側1/4が骨化 | |
| グレード2 | 腸骨稜の半分が骨化 | |
| グレード3 | 腸骨稜の外側から3/4が骨化 | |
| グレード4 | 腸骨稜ほぼ全体が骨化するが腸骨稜に完全には癒合していない | |
| グレード5 | 腸骨稜全体が骨化している | |

Risser2以上の患者に比べ、Risser0~1の患者は有意にカーブが進行しやすいです。
グレードが低いということは成長段階ということであるため、成長の過程の中で側弯が進行しやすいと言われています。
2.思春期側弯症の診断
側弯症の診断は主に単純X線です。
全脊柱立位正面、側面像の撮影を行い評価します。
正面像では両上肢下垂位。
側面像では両足をやや開いた直立姿勢でまっすぐ前方を注視し、両手は軽く握り、肘を屈曲して鎖骨上窩に置いた姿勢で撮影をします。
側弯の定量的な評価はCobb角を計測して行われます。
Cobb角は上縁凹側に向かって最大に傾斜している最上位の椎体と下縁が凹側に向かって最大に傾斜している最下位の椎体との間の角度を指します。

Cobb角が10度未満であれば正常、10度以上であれば側弯症と診断されます。
20~25度まで増大すると成長期であれば装具療法の適応となり、40~50度以上では手術適応となります。
身体所見としては以下のような確認を行います。
- 立位での肩峰の高さ
- 腸骨稜の高さ
- 前屈テスト(Adam’s bending test)

側弯症では脊柱の側屈が起こっているため、左右の肩峰の高さや腸骨稜の高さが変化します。
胸椎の側弯変形は肩峰の高さに影響し、腰椎の側弯は腸骨稜の高さに影響しやすいと考えられます。
また、いずれか一方の変化であったとしても代償的に腸骨稜や肩峰の高さを変化させ、バランスをとるということも充分に推測できます。
前屈テストでは後方から脊柱を観察し、肋骨の隆起を確認します。
具体的には背部の回旋角度を確認することが重要で、0~4度は正常範囲、5~6度は中等度、7度以上は高度側弯されています。
この肋骨隆起が7度以上の場合はCobb角30度に相当するとも言われています。
しかし肋骨隆起とCobb角の相関は低いという報告もあるため、1つの指標として観察することが大切です。
3.思春期側弯症の治療
治療法にはリハビリと装具療法、手術療法などがあります。
| 装具適応基準 | ||
|---|---|---|
| 年齢 | 10~15歳 | |
| Cobb角 | 20~40度 | |
| Risser sign | grade0~2 | |
| 初潮 | 初潮初来もしくは初来後1年未満 | |
装具療法を行なった75%が手術を回避できたのに対し、経過観察群では42%に留まったとの報告があり、装具装着時間依存性に成功率が上がると言われており非常に有効な治療法であると言えます。
装具治療終了の目安は
- 身長の伸びが1cm/年以下
- 初潮後2年以上経過
- Risser sign4以上
の3つを満たす場合、とされています。
手術はCobb角が胸椎カーブで45度以上、腰椎カーブが40度以上で適応です。
近年では椎弓根スクリューが主流となっており、前方もしくは後方から侵入し脊柱を矯正、固定します。
固定範囲は胸椎カーブ、腰椎カーブ、ダブルカーブなどの脊柱のどの部位が側弯しているかで異なります。
いずれにしても最下端固定椎はL3までにとどめるのが望ましいとされています。
4.リハビリの流れ
脊柱側弯症は多因子疾患であり、その因子の1つに脊柱への力学的なストレスも関連があると考えられています。
そのため脊柱に関与する力学的ストレスをコントロールすることは重要です。
脊柱側弯症に対する運動療法としてシュロス法があります。
シュロス法は側弯症を三次元的に捉え、呼吸と姿勢制御を組み合わせて脊柱変形を矯正・進行抑制することが目的です。
特に脊柱の凹側に対して呼吸を用いて拡張を促したり、側屈を用いてストレッチをしたりします。
さらに脊柱側弯症は側屈のみならず回旋も伴った変形をしているため、回旋のストレッチも重要です。

側弯症術後のスポーツ復帰についての明確な基準は示されていません。
しかしノンコンタクトのスポーツに対してはすべての人で許可されており、椎弓根スクリューを用いた場合、46%術後3ヵ月でランニングが許可されています。
サッカーやバスケットボールは術後6ヵ月で復帰が許可され、アメリカンフットボールやラグビーなどへの復帰許可は術後12ヵ月で復帰が許可される傾向にありました。
ただし競技復帰レベルは術前よりもかなり下がる傾向にあり、競技復帰できていないケースもあるため、手術に至らないようにするための保存療法が重要です。
参考文献
- 特発性側弯症
- 整形外科医のための脊椎のスポーツ診療のすべて
- 思春期側弯症に対する運動療法の有効性