足底腱膜炎について

足底筋膜炎イメージ

〜かかとが痛くて歩けない!足底腱膜炎とは?〜

皆さんお出かけをしてたくさん歩いた時、足の裏が痛いと感じたことはありますか?

寝起きで立ち上がった時やコンクリートの硬い地面を長時間歩いた時、ランニングやジャンプをした時にかかとや足裏に痛みがある場合、足底腱膜炎かもしれません。
今回は足底腱膜炎の症状や治療の流れ、予防法についてご紹介します。

ここがポイント!足底腱膜炎まとめ

  • 足底腱膜炎と足底筋膜炎は同じ
  • 足底腱膜はかかとの骨やアキレス腱、ふくらはぎの筋肉とつながっている
  • 足底腱膜炎は使い過ぎや体重増加、足の形異常や合わない靴などが原因
  • ストレッチによるセルフケアは必ず必要
  • 難治性足底腱膜炎は保険適応による治療が可能
  • 体外衝撃波治療とストレッチ(リハビリ)、インソールの組み合わせがお勧め

目次

  1. 足底腱膜の構造
  2. 足底腱膜炎の症状
  3. 足底腱膜炎の原因
  4. 足底腱膜炎の診断
  5. 足底腱膜炎の治療
  6. 足底腱膜炎のリハビリ

1.足底腱膜の構造

足底腱膜は足裏にある扇状の腱膜です。そしてふくらはぎ→アキレス腱→かかとの骨と繋がっているため、足首の可動域やふくらはぎの硬さに影響を受けやすくなっています。
また、足の土踏まず(縦アーチ)は足底腱膜以外にも、足の指を曲げる筋肉(長趾屈筋)や足首を内側に捻じる筋肉(後脛骨筋)が関わっています。他にも、足裏には母趾外転筋、小趾外転筋、短趾屈筋などがあり、足底腱膜はこれらの筋肉を覆うように土踏まずを構成しています。

足底腱膜の重要な役割は足裏アーチの維持と衝撃吸収、蹴り出しです。生まれ持った足の形や、スポーツ、仕事の負荷等により足底腱膜への負担が増えると、足底腱膜炎を発症します。

2.足底腱膜炎の症状は?

  • 寝起きの一歩目にかかとを着くと痛い
  • 急に動き始めると痛い
  • 足指を反らせて足の裏を伸ばすと、足裏が痛い
  • 足裏のかかとの骨やスジを押すと痛い
  • かかとや足裏全体が硬くなっている

足底の踵周囲の痛みは図のような①〜④に分けられます。

足底腱膜炎の主な疼痛部位は①です。

足底腱膜炎の主な疼痛部位

  1. 足底腱膜炎(付着部)
  2. 脂肪体炎
  3. 外側足底趾神経第1枝の絞扼障害
  4. 足底腱膜繊維種・足底腱膜炎(実質部)

3.足底腱膜炎の原因

足底腱膜炎の原因として、①使い過ぎ(歩き方・硬い路面)、②靴の不適合、③体重増加・加齢による変性、④扁平足や外反母趾・甲高(ハイアーチ)などの足の形異常などがあります。また歩き方など重心の位置、足部の機能に問題がある場合があります。

①使い過ぎ

ジャンプやランニングの際に足底腱膜へは牽引力(引っ張る力)と圧迫力が繰り返しかかります。そのため足底腱膜に細かい傷や炎症が起こり、痛みを引き起こします。さらに硬い地面の上で練習している方は悪化しやすく、長時間の立ち仕事をしている方も注意が必要です。

②靴の不適合

ヒールをよく履く方は、常につま先立ちをしているということになります。常ふくらはぎの筋肉が収縮している状態になり、その筋肉が硬くなります。そのため足首の動きが固くなり、足底腱膜への負担が増加します。またパンプスやローファーなどの靴底がフラットでクッション性のない靴もお勧めできません。

③体重増加・加齢による変性

足の筋力不足(ふくらはぎの内側にある筋:後脛骨筋)でも発症しやすくなります。

後脛骨筋の筋力低下が起こると、足の裏の縦アーチがつぶれやすくなります(扁平足)。足のアーチがつぶれたままですと、足を踏み込んだ際に内側に足の裏に体重がかかりやすくなり、足底腱膜炎を生じる可能性が高くなります。

④ 足のかたちの異常

扁平足や外反母趾、甲高(ハイアーチ)の方は足底腱膜への負担が大きくなります。

4.足底腱膜炎の診断

足底腱膜炎の症状に加え、痛みのある部位の確認が重要です。

図のように足裏の痛みの箇所によって①足底腱膜炎、②脂肪体炎、③母趾種子骨障害、④外脛骨、⑤外側足底神経枝の絞扼性神経障害などが痛みの原因として挙げられます。
また、かかとの骨が疲労骨折を起こしている事もあり、治療効果が乏しい場合は精密検査が必要となります。

足底腱膜炎の主な疼痛部位

画像検査では、レントゲン、超音波検査、MRIなどがあり、炎症部位の同定や重症度の判定に有効です。

まずはレントゲンや超音波検査を行い、必要に応じてMRIを実施します。

炎症部位

5.足底腱膜炎の治療

足底腱膜炎の治療法は大まかに以下の5つがあります。

  1. ストレッチ(リハビリ)
  2. インソールとテーピング
  3. 体外衝撃波治療
  4. PRP療法
  5. 手術療法

足底腱膜炎の治療として、適切な運動制限とインソールの使用、足底筋群(足の指を曲げる筋肉)や下腿屈筋群(ふくらはぎの筋肉)のストレッチ、体外衝撃波治療や手法療法があります。足底腱膜炎へのステロイド注射は再発を起こしやすいため、まずは体外衝撃波治療をお勧めします。

①ストレッチ

保存療法の中でも必須の治療法であり、インソールや体外衝撃波治療と組み合わせて行います。
受診が難しい方はストレッチから始めてください。ストレッチは各部位20秒前後、一日1〜2回を目安に行なってください。

◎足関節周囲の筋のストレッチ

足部の背屈制限は足底腱膜への負荷を増大させるため、背屈制限の原因となるふくらはぎの柔軟性を改善する必要があります。ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋があり、その下には足の指を曲げる筋(長母趾屈筋や後脛骨筋、長趾屈筋)があります。腓腹筋、ヒラメ筋はアキレス腱となり、踵を経由して足底腱膜につながります。つまり、足首周囲の筋肉をストレッチすることで、足底腱膜の過度な緊張を予防する事ができます。また、アキレス腱周囲のマッサージは、足関節の背屈の制限に対する重要な治療になってきます。

アキレス腱を伸ばしても痛みが出ないようであれば、荷重をかけながらアキレス腱のストレッチを行っていきます。

ハムストリングスストレッチ
ハムストリングスストレッチ
殿部ストレッチ
殿部ストレッチ
アキレス腱ふくらはぎストレッチ
アキレス腱ふくらはぎストレッチ
足趾のストレッチ
足趾のストレッチ
アキレス腱周囲のマッサージ
アキレス腱周囲のマッサージ

アキレス腱とくるぶしの間をつまみ、足首を上下に動かします

ボールでほぐす方法

テニスボールやゴルフボールの上に足を乗せ、前後に転がしたり、足指を動かします。

ボールでほぐす方法①
ボールでほぐす方法②

②インソールとテーピング

オーダーメイド(保険適応)によるインソールを作成します。インソールは足部のアーチを補正することで、足底腱膜への負担を軽減します。市販のスニーカーや運動靴のインソールを入れ替えて使用しますが、インソールが取り外せて、かつヒモ靴である必要があります。装着や交換が簡単で長期的な使用が可能であるため、お勧めの治療法です。

テーピングも有効な治療法の一つですが、一時的な効果しか期待できません。テーピングを使用する場合は、スポーツや長距離歩行が避けられない時、当日の朝実施することが望ましいです。間違ったテーピングはかえって逆効果のため、専門知識のある方に実施してもらうようにしましょう。

③体外衝撃波治療

連続した衝撃波を患部に照射することで、増え過ぎた痛みの神経(自由神経終末)を減らし、変性した腱組織を修復させる治療法です。
初期の炎症の落ち着いた方が対象で、当院では第一選択の治療法です。

体外衝撃波治療のみでも一定の効果がありますが、歩き方の指導や足関節周囲のストレッチ、リハビリテーションの併用が必須となります。集束型の治療効果が高く、治療期間も短くなります。


ストレッチやインソールなどの保存的治療を6ヶ月以上行っても改善が得られない場合、難治性足底腱膜炎として集束型体外衝撃波による保険治療が可能です。集束型体外衝撃波治療は2-3週毎に計4回程度行います。

集束型体外衝撃波(踵への照射)
集束型体外衝撃波(踵への照射)

④PRP療法

PRP療法はご自身の血小板を利用した治療法です。組織の再生を促す治療法で長期的な効果も期待できる治療法ですが、自費診療(1回33,000円)であること、足底腱膜への注入は治療直後から強い痛みが出るため、体外衝撃波治療で効果の少ない方やご希望のある方を対象に行なっています。

⑤手術療法

保存療法で効果の無い方を対象に足底腱膜切離術や筋腱延長術が行われます。手術加療のため対象の方は専門医療機関へご紹介いたします。

長引く足底の痛みにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

WEB受付・予約
当日
電話受付
050-5491-4496
042-512-9320
クリニック名
西国立整形外科クリニック
診療内容
(診療科目)
一般整形外科、リハビリテーション、スポーツ整形外科、骨粗しょう症、漢方内科
住所
〒190-0021 
東京都立川市羽衣町2-49-7
アクセス
  • JR南武線「西国立駅」徒歩6分
    「矢川駅」徒歩12分
  • バスのアクセスはこちら
  • お車でのアクセス
    駐車場16台完備
    「立川駅」から車で9分
    「国立駅」から車で7分
診療時間 日祝
9:00~12:30
15:00~18:00

休診日:水曜・土曜午後・日・祝
*受付は診療開始10分前から行います

Page Top