~足の内側の骨が出っ張って痛い!それは有痛性外脛骨かも!? ~
有痛性外脛骨は舟状骨の内側が出っ張っていて、その部分に疼痛を生じる疾患です。
外脛骨のTypeによって症状の出現のしやすさが変化し、特にType2は線維性の結合を呈しているため、同部位で炎症を起こしやすいと言われています。
内側のアーチをサポートするようなインソールであったり、アーチをサポートするような筋肉のトレーニングがリハビリの中では非常に重要になってきます。
ここがポイント!有痛性外脛骨のまとめ
- 有痛性外脛骨は日本人の約4人に1人に存在する過剰骨である
- TypeⅡが症状との関連が深い
- 足の内側縦アーチの保持が重要
- インソールによるアーチのサポートが有効な場合がある
- 保存療法に抵抗する場合は手術療法を行う
目次
- 有痛性外脛骨とは
- 有痛性外脛骨の診断
- 有痛性外脛骨の治療
- リハビリの流れ
1.有痛性外脛骨とは
外脛骨は舟状骨内側に存在する過剰骨で、日本人の21.2%に存在する足部における最多の過剰骨であると言われています。
足部の骨は片足で28個、両足で56個と言われていて、これに過剰骨がある場合はもっと数が増えることになります。
舟状骨というのは足部の近位内側に存在しており、内側縦アーチの要石となっている骨です。

過剰骨とは本来ない余分な骨です。
この過剰骨自体が病的ではなく、無症候性のものが大体数を占めていますが、繰り返されるストレスなどによって疼痛を引き起こされたものを有痛性外脛骨と呼びます。
外脛骨部分が症候性となるのは、外脛骨を有するもののうち10~30%程度とされています。
有痛性外脛骨の主な症状は疼痛です。
疼痛によって日常生活やスポーツのパフォーマンスの低下をきたしてしまうのが主な特徴になります。
2.有痛性外脛骨の診断
外脛骨の診断にはまず単純X線検査を行います。
一般的にはVeitch分類最も用いられていて3つのタイプに分類されています。
Veitch分類
| Type1 | 舟状骨粗面から遊離独立して後脛骨筋腱内に存在する円形で小さいもの |
|---|---|
| Type2 | 舟状骨粗面と隣接し、線維性または軟骨性に結合しているもの |
| Type3 | 舟状骨と骨性に癒合し突起を呈しているもの |
なかでも最も症候性となりやすいのは、Type2と言われていて、Type1とType3は症状が無いものがほとんどです。
それはType1の場合は、舟状骨との連続性がなく少なくとも3mm離れていると言われているからです。
またType3の場合はType2の最終段階であると考えられていて、2次骨化中心が舟状骨結節に骨性に癒合しているからです。
一方でType2はType1より大きな構造で、8~12mmの三角形またはハート形で舟状骨の本体との間に存在する軟骨性または線維軟骨性のsyncondrosis(軟骨結合)で舟状骨に結合しています。
さらにType2は2aと2bに分かれています。
単純X線側面像にて外脛骨下縁と距骨外側突起を結ぶ線とsynchondrosis(軟骨結合)のなす角が大きいものを2a、小さいものを2bとするという定義があります。
そのため2aには牽引力がかかりやすく、2bには剪断力がかかりやすいと言われており、2aは剥離損傷のリスクがあるのです。
単純X線の他に超音波検査やCTやMRIなども用いることがあります。
CTやMRIでは骨折の有無や骨挫傷の有無の評価に有効です。
受傷から1週間以上経過しても荷重が困難であったり、舟状骨の著名な圧痛があったりする場合、舟状骨の骨折が疑われます。
その際にCTやMRIを活用します。
超音波検査は外脛骨から後脛骨筋腱にかけての炎症の有無を評価する上で有用です。
3.有痛性外脛骨の治療
有痛性外脛骨は保存療法を中心に、リハビリや装具療法が主に行われます。
リハビリでは外脛骨部分にかかるストレスを減らすことを考えて進める必要があります。
外脛骨部分には後脛骨筋腱が付着します。
そのため同部位が過度に緊張するような状態になると、外脛骨部分に伸長ストレスがかかってしまうのです。
よって主に足部の外反や外転方向への動作への注意が必要になります。
足関節の背屈制限、後脛骨筋機能不全、扁平足などの足部の状態や他関節の機能不全が足部の外反や外転を生み出す可能性があります。
そのため後脛骨筋のトレーニングは大変重要です。
しかし受傷初期は疼痛が強くトレーニングができない場合があるので、疼痛をみつつ強度やタイミングを調整していくことが大切です。
リハビリで重要なのはまずは局所の可動域改善になります。
- 足関節背屈
- 距骨下関節回内
- ショパール関節内転
このあたりがポイントです。
手術療法は原則的に保存療法後に症状が改善しない症例に適応します。
手術法の選択基準として、まず骨端線が残存しているか閉鎖しているかで分けて考える必要があります。
母趾基節骨の骨端線が残存しているType2の症例は経皮的ドリリングが有効だと言われています。
骨端線が閉鎖した症例に対しては外脛骨の単純摘出術や外脛骨摘出後に後脛骨筋腱を舟状骨に縫着させる前進術、または外脛骨と舟状骨を骨接合する方法が行われています。
近年では前進術か骨接合術のどちらかが選択されることが多いのですが、どちらの術式も治療成績は良好です。
ただし骨接合術は骨癒合に時間を要するため,前進術より後療法が遅くなる傾向があると言われています。
経皮的ドリリングは外脛骨と舟状骨が癒合することを期待する治療方法です。
術後は3週間のギプス固定を行い、ギプス除去後から痛みに応じて荷重を許可 し、関節可動域訓練、筋力訓練という流れで進めていきます。
前進術の後療法は術後3週間ギプスシーネ固定とし、ギプスシーネを除去してから足関節の可動域訓練と筋力訓練を進めていきます。
骨接合術は線維軟骨結合部を中心に切除し外脛骨と舟状骨を骨接合します。
術後はギプス固定を約6週間行いますが、骨癒合が遷延する症例もみられるため注意が必要です。
いずれの手術においても術後はギプス固定期間があるため、筋萎縮が著明になるケースがあり、その場合は特に筋力強化が重要になるのです。
手術後のスポーツ復帰については3ヵ月程度を要するケースが多いと言われていて、早期復帰を目的に安易に手術をすることは勧められません。
4.リハビリの流れ
リハビリではまず可動域の制限を改善し患部にかかるストレスを軽減することが重要です。
まずは足関節背屈の可動域制限改善を進めていきます。
背屈の制限がある場合、代償的に足部内側縦アーチの降下が起こりやすくなります。
足部の可動域改善も重要ですが、足関節背屈制限が残存していた場合、荷重による影響で足部には悪影響を及ぼす可能性があります。
だからこそ背屈可動域が非常に重要なのです。


可動域改善のためにKager’s fat pad(脂肪体)の柔軟性を改善し、下腿三頭筋のストレッチを行っていきます。
また距骨下関節の回内可動域は、荷重時の足関節背屈動作に非常に重要です。

可動域改善と同時に疼痛を確認しながら筋力トレーニングも行っていきます。
足部アーチ機構を保持するために足部内在筋のトレーニングや疼痛が軽減してきたら後脛骨筋のトレーニングを進めます。
歩行動作なども含めて荷重がかかれば、足部アーチは降下します。
その降下を制御するために筋機能が大切で、特に後脛骨筋の働きが必要になるのです。
足部内在筋のトレーニングにはショートフットエクササイズが有効で、座位などの荷重があまりかからない肢位から立位、片脚へと進めていきます。

下腿三頭筋を中心とした足関節底屈筋を鍛えるためにはCalf raise(踵上げ)が有効です。
段階的に進めるためには座位から始めて、両脚立位、片脚へと進めていきます。
最終的には片脚で20回くらい楽々できるところを目標としていきます。

参考文献
- 実践 足の保存療法 手術の前にすべきこと
- 外脛骨障害の診かた