~足首の骨折!意外と身近な骨折について ~
足関節骨折は以外と身近に起こる骨折の1つではあるものの、強い外力が発生することで起こるため重症度が比較的高いです。
骨折はLauge-Hansen分類という分類により、外力の加わり方によってどの部位が損傷するのか報告されています。
基本は手術療法になりますが、骨折のタイプによっては保存療法で治療を行います。
リハビリでは荷重を始めるタイミングは医師の指示に従い進めますが、早期荷重、約6週間の免荷いずれにしても経過は問題ないと報告されています。
ここがポイント!足関節骨折のまとめ
- 足関節骨折は人口10万人あたり年間100~180人程度の発生率があり、日常的にもよく発生する骨折
- 発症年齢の平均は45歳だが青壮年の男性と高齢女性の発生にピーク
- Lauge-Hansen分類という分類により、大きく4種類の骨折タイプに分類
- 多くは手術療法が適応となるが骨折のタイプにより保存療法か手術療法のいずれかになる
- 医師の指示に従い、早期荷重ないしは一定期間の免荷期間を経てリハビリを進める
目次
- 足関節骨折とは
- 足関節骨折の種類
- 足関節骨折の診断
- 足関節骨折の治療
- リハビリの流れ
1.足関節骨折とは
足関節(果部)骨折とは、足首のくるぶし部分の骨折のことを指します。

人口10万人あたり年間100~180人程度の発生率があり、日常的にも治療にあたることが多い骨折になります。
全骨折の約10%を占め、大腿骨近位部骨折に次いで発生件数の多い骨折であると言われるくらい発生頻度が高いです。
発症平均年齢は45歳であるが、青壮年の男性と高齢女性の発生にピークがあると報告されています。
足関節骨折では、内果と外果、後果の骨折や靭帯損傷を同時に起こします。
骨の転移などが少ない場合は保存療法が適応となりますが、転移などが大きい場合は手術療法が適応となります。
受傷起点としては足関節が捻挫のように捻られることで起こりますが、内反、外反どちらの動きが起きるかによって損傷する場所が異なります。
特に骨折であるため、1回の強い外力が加わって起こることが圧倒的に多く、どのように受傷したか確認をすることが重要です。
元々足を痛めており、軽微な外力で疼痛が悪化した場合には疲労骨折も念頭におく必要があります。
2.足関節骨折の種類
足関節骨折はLauge-Hansen分類という分類により、大きく4種類のタイプに分かれます。
この分類は受傷時の足部肢位(回外:supinationもしくは回内:pronation)と足関節に加わった外力(外旋:external-rotation、外転:abductionもしくは内転:adduction)の組み合わせで大別しています。
最初の文字は『受傷時の足部の肢位』を表し、続く文字に『受傷時の距骨に加わる外力の方向』が示されています。
①Supination-adduction(SAD)型
SAD型は足が回外位に固定され、足関節に内転力が加わって生じます。
距骨の内転あるいは内旋と踵骨の回外に伴い、踵腓靭帯が腓骨の先端部を牽引して骨折が生じます。
さらに距骨に内転・内旋力が加わることで内果を突き上げ、斜骨折か垂直骨折が起こると言われています。
- Stage1:腓骨先端部の裂離骨折あるいは外側側副靭帯の断裂
- Stage2:内果の斜骨折か垂直骨折、ときに距骨体部の内方への脱臼
また距骨が脛骨天蓋部に突き上げられることで、距骨滑車や骨軟骨損傷を伴う可能性があります。

②Pronation-abduction(PAB)型
PAB型は足が回内位に固定され、距骨に外転の力が加わることで生じます。
最初に内果の骨折もしくは三角靱帯の損傷が起こり、次に脛腓靭帯断裂あるいは後果骨折、そのまま距骨により外果が押されることで腓骨が斜骨折あるいは粉砕骨折します。
PAB型は大きく3つに分類分けされています。
- Stage1:内果の横骨折あるいは三角靭帯の断裂
- Stage2:前脛腓靭帯断裂、後脛腓靭帯断裂、あるいは後果骨折
- Stage3:脛腓靭帯結合部レベルでの腓骨斜骨折あるいは粉砕骨折
加えて脛骨天蓋部の脛腓間側の軟骨損傷が起こる可能性があるため、それも念頭に置く必要があります。

③Pronation external rotation(PER)型
PER型は足部が回内位の状態で、下腿に対し距骨が外旋することで生じます。
- Stage1:内果の横骨折あるいは三角靭帯の断裂
- Stage2:前下脛腓靭帯の脛骨付着部もしくは実質部の断裂、骨間膜の損傷
- Stage3:骨間膜断裂、脛腓靭帯部より上方にらせん骨折または斜骨折
- Stage4:後下脛腓・下横脛腓靭帯の損傷
PER型は予後が最も不良と言われており、Stage4では整復と保持が困難とされています。

④Supination-external rotation(SER)型
SER型は足部が回外位に固定された状態で、距腿関節に外旋力が加わって生じるとされています。
- Stage1:前下脛腓靭帯断裂あるいはその付着部の裂離骨折
- Stage2:脛腓靭帯結合部レベルの腓骨外果の螺旋骨折
- Stage3:後下脛腓靭帯・下横脛腓靭帯の断裂もしくは裂離骨折(後果骨折)
- Stage4:内果の横骨折あるいは三角靭帯損傷
SER型は最も頻度が高い骨折であると言われており、果部骨折の40~75%を占めると言われています。
特に50歳以上の女性にはこの型が多いそうです。

3.足関節骨折の診断
足関節骨折は疼痛、腫脹、圧痛が非常に強く、自力歩行は基本的に難しいと考えられます。
問診で受傷時に加わった外力を確認することで軟部組織の重度損傷やLauge-Hansen分類にてどのタイプか推測しやすくなります。
受傷時にどのような外力が加わったかを聴取することも大切で、外力が強ければ強いほど軟部組織の損傷などが重症化している可能性があります。
診断は基本的に単純X線で行うことが可能です。
足関節単純X線2方向もしくは3方向の撮影(前後像、側面像、15度内旋前後像:Mortise像)を行います。
保存療法の適応になるかどうかは、骨折の形態と程度、関節裂隙の幅を確認することで判断されます。
Gravity stressテストは外果単独骨折の安定性を評価する検査で、患側を下にした側臥位で撮影する方法です。
この画像で内側関節裂隙の開大の有無を判定し、開大している場合は手術療法の適応となります。
4.足関節骨折の治療
骨折の転位がほとんどなく、距腿関節の適合性が良い場合は保存療法の適応の可能性があります。
内果単独骨折、外果単独骨折は徒手療法後にギプス包帯による固定がおおよそ6週間行われ、その期間は免荷されます。
ただし、両果骨折(内果、外果骨折)、三果骨折(内果、外果、後果骨折)の場合は、転位がなくてもほとんどの場合は不安定性があるため手術となります。
手術の時期は、腫脹が少ないタイミングで行うことが重要です。
そのため、腫脹が改善するのを待ち受傷後1~2週間後に手術を行います。
手術は正確で強固な内固定が重要なため、プレート固定されることが多いと言われています。
腓骨内固定
遠位骨片のサイズにより、骨片が大きい場合はプレート固定、小さい場合はスクリューやテンションバンドワイヤリング固定を選択します。
内果内固定
内果骨片のサイズによりスクリュー2本による圧迫固定、スクリュー1本とワイヤー1本による固定、テンションバンドワイヤリング固定のいずれかを選択します。

5.リハビリの流れ
足関節骨折の術後のリハビリの流れとしては、6週間非荷重状態を維持し、その後、単純X線による骨の治癒状況をみて徐々に全荷重へと移行するという報告があります。
免荷期間においては、おおよそ6週間~8週間とやや幅がありますが、この辺りがスタンダードです。
その他に早期荷重でリハビリを進めるという方法も報告されています。
早期荷重リハビリは、術直後から装具を装着した状態で部分荷重(10~15 kg)が許可されました。
さらに術後3週目のX線検査で正常なアライメント、進行性の骨癒合が確認された場合、装具を装着した状態で完全荷重に移行するという流れでした。
早期荷重を進めた患者は、平均 9.2 週間後に仕事や日常活動に復帰しました。
これは6週間免荷を保った人たちと比較して、1週間早かったが変動幅が大き かったため、有意差は認められませんでした。
ただし早期荷重にてリハビリを進めた患者は平均7.7週間後に完全荷重に達したのに対し、6WC 群の患者は完全荷重に至るまでに有意に長い時間を要したと報告されています。
有害な事象もなかったことから手術を担当した医師の指示に従うことが基本ではあるものの、早期荷重を進めていくことも有効な手段の1つです。
早期荷重、6週間の免荷いずれにしても、足関節の動きが硬くなるため、早期から運動療法を行うことも大切になります。
腫脹や熱感などの炎症状態にもよりますが、アキレス腱周囲の脂肪体(KFP)や距骨の前面の脂肪体(PFP)に対するアプローチは足関節の可動域維持、改善に有効です。



参考文献
- 実践足の保存療法 手術の前にすべきこと
- 整形外科運動療法ナビゲーション 下肢
- 足関節骨折のリハビリテーションと合併症
- Repair of Bimalleolar Ankle Fracture
- Functional Treatment and Early Weightbearing After an Ankle Fracture
- A Prospective Study